スペイン巡礼”Camino de Santiago”
なぜわたしは五度もCamino de Santiagoを歩いたのか?
ミッチー 女性 30代

Q1:巡礼をしようと思ったきっかけをお聞かせください
 2004年イギリスでの留学期間が終わり、友人に相談したらスペイン巡礼では様々な国の人たちが歩いていて英語の実践にもなるからと勧めてくれたのがきっかけです。

Q2:どうして2回目の巡礼に出られたのですか
スペイン巡礼”Camino de Santiago”の再チャレンジは、2004年のフランス道を終えたときから考えていました。何故ならば・・・。一回目は
・Santiagoに到着したのに、あまりにも人が多くて大聖堂に入れなかった
・「地の果て」といわれるFinisterraへ行けなかった
・意味も知らずに歩いてしまった
・人に頼りっぱなしの旅だった
 このことが後悔となり、6年前と同じシチュエーションである聖礼の年(Annus Sanctus)に歩いて、この4点は絶対にクリアにさせたいという気持ちがありました。 そして、普段の生活から離れた場所で「今後の自分探し」を見つけ出すために、強い意志を持ってこの旅をスタートさせました。

Q3:巡礼のルートはどのようにして決められましたか

Caminoの道は、フランス道・銀の道・北の道・ポルトガルの道の大きな4つがあります。今回の旅は1つ1つ自分の力で旅をしたかったという思いもあり難所が多い「銀の道」を選びました。
南スペインのSevillaからSantiagoまでの約1,000km(40日間)の旅、悔いの残らないように一日一日大切に過ごす事を心に誓い日本を経ちました。

Q4:どんな旅でしたか
スペイン巡礼の道は、黄色矢印をたどっていけばSantiagoに着くようになっていますので、ひたすら黄色い矢印をたどっていけば良いのですが・・・「銀の道」は道が変わりつつあり、道中矢印だらけでどちらへ行ったらいいのか分からなくなったり、矢印に従って歩いているのに「この道はまだ途中までだから、別の道を歩いた方がいいよ」と地元の人に助けてもらったり、矢印がなく道に迷ったりと難関だらけでした。

巡礼者は、巡礼の証として巡礼手帳(credencial)を持ちます。宿(albergue)にて巡礼手帳を提出すると、公式のスタンプが押され、集めたスタンプが巡礼の証明となります。
また、巡礼のシンボルでありますホタテ貝をバックパックにつけます(巡礼者の証)

食事ですが、朝食はコーヒー、トースト(もしくはマドレーヌ) ランチはフランスパンのサンドイッチ(ボカリージョ)、ビールorワイン、

夕食は巡礼者用のメニュー(前菜・メイン・デザート ワイン付)が通常です。

旅のはじめ、この夕食時間がスタートするのが20時以降からなのでお腹を空かせるタイミングを合わせるのが難しかったです(笑)

 旅では、色々な出来事がありました。
旅当初、十分な水を持たずに歩き、照りつける太陽に体の水分と体力を奪われフラフラになったこと、
ちょっとしたミスで47km(11時間歩き)も歩いてしまったこと、人生初めて天の川を見たこと、フランス人(3人)vsヨーロッパ連合(+日本人)との熾烈な戦いが毎日繰り広げられたこと(笑)などなど。

その中でも忘れられない出来事があります。旅の10日ぐらい経過した頃に出会った、スペイン人の男性です。年齢は、たぶん40歳ぐらい男性で背丈があるけど、太っていなくスマートな方。身なりもきちんとしているし、礼儀正しく、愛想がよく話しかけやすい人。宿にある休憩所で彼と一緒になり、少し話をしました。
 彼は「僕は貧乏です」と・・・正直、冗談かと思って「私も似たようなもんだよ~」なんて笑いながら話していると、「本当だよ。職もなければ、お金もない、家もないよ。宿に泊まるのもボランティアでお手伝いをしてお金をもらってからでないと泊まれない。無理な場合は、道ばたで寝ているよ」「Camino de Santiagoに参加しているのも、少ないお金で色々な町に行けるからね、時間は沢山あるからゆっくり町を堪能しながら歩くよ」と・・・。私は何も言い返す事が出来ませんでした。
何を言ってもウソに聞こえるような気がして・・・(日本語でもうまく言えないのにスペイン語なんて不可能)

私の旅仲間は、私を含めて4人(イギリス人、オーストリア人、ドイツ人、私)
そのうち、2名は失業中で1年ぐらい職についていない話を聞きました。経済の悪化は、本当に深刻なものなんだと痛感しました。でも、そんな彼らは包み隠さず話してくれるし恥だと思っていません。そんな彼らの心の強さというか、精神力は際立っていました。正直、こんな人生もいいものなのかも。と考えさせられました。

Q5:巡礼で感じたことは

この様な様々な出来事が私の中で、少しずつ少しずつ物の捉え方や考え方が変わったのではないかと思います。そして、イタリアのおじさんの「気分が良いから、もう少し歩くよ」と私に言ってくれたこと、南アフリカのおじさんが「そうすればいいじゃん」と背中を押してくれたこと、そして・・・「考えすぎだよ」と旅仲間が私に気づかせてくれたこと。この3つのささいな出来事が私の岐路を正しい方向へ向けてくれました。自分の中で何が大切で、これからの自分に何が必要なのか少し分かった気がします。
 SevillaからSantiagoまでの1,007km 34日間 そのスタートする日を1日ずらしていたら、全く違った人たちとの出会いがあったり、違った経験をしたりし考え方も今とは異なっていたと思います。
私は、この旅で一生涯忘れられない経験が出来ました。そして最高の旅仲間と出会い一緒に飲んで、歌って、笑って、歩けたのが最高の宝物となり私のパワーの源になっています。これから、新しい自分の道に進んでいきます。

Q6:旅の手配はどのようにされましたか

 自分で手配をしました。
巡礼の工程は、現地で仕入れたガイドブックを参考にその都度 自分自身で手配しました。

Q7:みなさんへのアドバイスは

 巡礼者の方は、責任は自分自身で持つようにしてください。
日本と違い日曜日は店が空いていなかったり、コンビニや自動販売機がなかったり、小さい村では宿が1箇所しかなかったりします。できる限り事前に調べたりガイドブックを入手して、おおまかな計画を立てたほうが良いと思います。

Q8:今後行きたいところ

 スペイン 「北の道」を歩きたいです。

Q9:旅をされたのはいつですか、予算はおいくらでしたか

 2010年9月から45日間、総額約40万円

Q10:スペイン巡礼には何回行かれましたか

①2004年 フランスの道  800km
②2010年 銀の道     1,007km
③2012年 フランスの道  270km 姉と
④2016年 ポルトガルの道 250km
⑤2017年 フランスの道  200km 甥っ子と

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