「天災から日本史を読みなおす」中公新書刊 磯田道史著

岡山県出身の日本歴史学者の磯田道史氏。

「天災から日本史を読みなおす」(第63回日本エッセイスト・クラブ賞受賞)

「日本史の内幕」共に中公新書刊。

磯田(いそだ)道史(みちふみ).1970年岡山県生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。

茨城大学准教授。静岡文化芸術大学教授などを経て、2016年国際日本文化研究センター

准教授。2021年より同教授。「武士の家計簿」新潮新書・新潮ドキュメント賞受賞。

「殿様の通信簿」新潮文庫。「江戸の備忘録」「無私の日本人」以上文春文庫。

「感染症の日本史」「徳川家康 弱者の戦略」以上文春新書等、著書多数。

磯田氏曰く、「『武士の家計簿』を書いた磯田道史さんが、なぜいきなり防災史を書き始めたの?」とよく聞かれるが、実は、「私は、いきなり防災史を始めたわけではない。大学1年生の時から、地震や津波の古文書をみるとコピーしてファイルする癖があった。ただ、東日本大震災を目の当たりにしてこれまでに蓄積した災害に関する古文書の知識を自分の頭だけに死蔵しておいてはいけないと感じて表に出しはじめただけのことである。」

磯田氏曰く、「このごろ、歴史小説を読んでも、面白いものが少ない。理由ははっきりしている。情報化社会、ネットの社会になって、情報検索が容易になり同じ情報をコピーして共有するようになったからである」。本書は、直接古文書を読む、磯田氏だけが知る歴史の裏側満載の本。

熊本で大地震が起きた。一報を聞いた時、私は「やられた!」と思った。悔しかった。悔しかったのには理由がある。400年前にも慶長三陸地震といって東北に大津波がきたことがあったこの400年前の東日本大震災のあと最初に大地震が起きたのが「熊本」であった1611年に慶長三陸地震がきたあと、8年後に肥後八代(やつしろ)地震(1619年)14年後に肥後熊本地震(1625年)がきた。前回は8年後、今回は5年後であったがまさかこんなに忠実に東北震災のあとに熊本を襲うとは思ってもみなかった。歴史は繰り返す。

○1707年の宝永津波の時に、(へい)兵衛(べえ)という男が浜で津波の襲来を察知。「大波だ」と叫んで、低地にいた村人560人に知らせ、皆が逃げ延びた生々しい記録が残っている。「率先避難者」が大声で避難を呼びかけながら逃げれば多数の人の人命がたすかる。歴史の実例がそれを示している。

  これは大切な歴史的教訓である。津波から逃げる時、率先避難者が大声で「津波がくるぞ。高台へ避難」と呼ばわると、その声で周囲も我に返り逃げ始める。声を出して逃げることで、地域の生存率が高くなる。津波から逃げる時は勇気をふるって、声を出しながら逃げるようにしたいものである。

○これから備えるべき自然の危機は三つある。第一は、地震津波などの地学的危機。第二に、地球温暖化にともなって台風や集中豪雨が激化することによる風水害・高潮・土砂崩れなどの気象学的危機。そして、第三に、世界の人的交流の進展やテロの可能性が高まり抗生物質耐性菌・インフルエンザ・出血熱などの感染症学的危機も高まってきている。⇒2014年に出版された本に書かれております。すでにコロナを予見していた?https://amzn.to/3OT3RgT

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